水素エネルギー技術

利用

水素のエネルギー利用 [1]

水素の性質と活用」に記載しているように、水素は化学原料として産業用に広く使用されてきました。水素をエネルギーに利用することも、長い実績があります。日本でも、初期のガス灯用燃料や都市ガス用ガスとして、日常生活で広く利用されてきました。
水素をエネルギーとして利用するには、燃料電池で電力を作り出す方法、水素を燃やして使う方法の大きく2つに分けられます。
燃料電池とは、燃料を空気中の酸素と反応させることで電力を取り出す電池で、その詳しい仕組みについてはこちら(燃料電池とは)をご覧ください。水素を利用する燃料電池は、自動車の動力源や「エネファーム」などの家庭用燃料電池システム、さらにはより大型化した業務用発電機としても導入が進められています。また燃料電池フォークリフトは、米国では6000台程度が普及しているとされます。
水素を直接燃やす方法で実用化されている典型例は液化水素を燃料に使うロケットで、国産ロケット・H-IIAをはじめ日本・アメリカ・ロシアなどで液化水素ロケットが運用されています。
そして、水素の新しいエネルギー利用方法として注目されているのが水素発電です。水素発電では水素を燃焼させた熱エネルギーで大型タービンを回して発電を行います。
既存の天然ガスタービン発電機にも水素を一部混ぜることが可能であり、水素からは二酸化炭素が発生しないため、その分だけ二酸化炭素の排出量を少なくすることができます。さらに水素のみを燃料に使い、全く二酸化炭素を排出しない発電機の開発も行われています。

写真:アイシン製エネファーム

▲ アイシン製

写真:パナソニック製エネファーム

▲ パナソニック製

写真:東芝製エネファーム

▲ 東芝製

家庭用燃料電池は、共通ブランド「エネファーム」のもとに各社が製造・販売を行っています。
(写真: 経済産業省 第2回水素・燃料電池戦略協議会ワーキンググループ「家庭用燃料電池について」より作成)

より詳しく知りたい

燃料電池はさまざまな分野に利用が拡大中 [1]

写真:燃料電池フォークリフト

アメリカ・ヒューストンの物流センターで使われている燃料電池フォークリフト(出典:Sysco「Fuel Cell-Powered Lift Truck Sysco Houston Fleet Deployment」) [2]

自動車での燃料電池利用については別な項目で解説していますので、ここではそのほかの燃料電池の活用方法について紹介します。
日本の燃料電池利用で一番普及が進んでいるのは、都市ガス(メタン)やLPG(プロパン)を利用した家庭用燃料電池システムです。日本国内では「エネファーム」という統一ブランド名で販売しており、2009年の発売から2015年1月までに全国で約11万台が販売されています [4]。エネファームは、都市ガスやLPGを原料に水素を生成し、燃料電池に供給する仕組みです。また、燃料電池が発電する際の熱で温めたお湯を風呂などに活用することでエネルギーを有効利用しています。このように、発電と同時に熱も利用する仕組みは一般にコージェネレーションシステム(コージェネ)と呼ばれますが、現在発売されている製品で比較した場合、ガスを直接燃やして発電するコージェネシステムと燃料電池システムでは、燃料電池システムがエネルギー利用効率は数%から10%高くなります。
より大きな燃料電池スタックを備えた業務用燃料電池システムは、日本ではまだ販売台数は少ないですが、アメリカや韓国では導入が進んでいます。
また、移動用に使われる燃料電池としては、自動車・バスのほか、燃料電池フォークリフトが米国の流通関連の企業が積極的に導入しています。というのも、燃料電池であれば水しか放出されないため、倉庫や工場内をクリーンに保つことができ、また充電に数時間かかる電池式フォークリフトと違って、水素を使う燃料電池フォークリフトなら数分で充填できるためです。日本ではまだ数台程度に留まっていますが、アメリカでは約6000台の燃料電池フォークリフトが稼働中で、サウスカロライナ州の自動車工場のように数百台単位で導入しているところもあります。

水素を火力発電の燃料に使う水素発電 [1]

写真:水素ガスタービン

2015年には、神奈川県川崎市で稼働予定の水素発電所で使われるガスタービン。天然ガスと水素を混合して発電を行うが、水素の割合が60%でも安定して稼働する。(写真提供:川崎重工業株式会社)

燃料電池とは異なる仕組みで水素を使い電力を得る仕組みとして、水素発電があります。現在使われている一般的な火力発電では天然ガスなどを燃焼させて、その時に発生するエネルギーでタービンを回して発電していますが、同時に二酸化炭素が発生します。水素発電では、その天然ガスに水素を混入したり、あるいは水素だけで燃焼させることで、その分だけ二酸化炭素の排出量を少なくすることができるものです。
従来のガスタービン発電機でも、水素をある程度までは混入できますが、水素の比率を上げると、燃焼の高温にタービン等が耐えられなくなる、燃焼時の高温で発生する窒素酸化物ガス(NOx)の量が天然ガスの場合より多くなる、という問題点があります。2015年に稼働予定のガスタービン(30MW級)は、天然ガスと水素を別にタービン内に投入するなどの改良を行い、天然ガスに水素を60%混ぜた状態でも安定して発電を行うことができるとされています。[3]また、水素と天然ガスの比率を自由に変えられるガスタービンも開発中です。なおイタリアでは、水素100%のガスタービン発電(16MW級)が2009年より行われています。[4]

文献リスト

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