水素の意義とビジョン

水素社会のビジョン

水素社会推進法

2024年5月に日本で初めての水素に関する法律となる「水素社会推進法」が成立し、10月に施行されました。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、水素をはじめとする「低炭素水素等」の活用を促進するのが目的です。

  • 低炭素水素等の定義:
    水素ではWell to Gateで3.4kg-CO2e/kg-H2(天然ガス改質で製造する水素よりも7割削減) アンモニアではWell to Gateで0.87kg-CO2e/kg-NH3(天然ガス改質で製造する水素を用いたアンモニアよりも7割削減)

  • 水素サプライチェーンの計画認定制度:
    先行的で自立が見込まれる水素サプライチェーンの創出・拡大のため、低炭素水素等を国内で製造・輸入して供給する事業者や、低炭素水素等をエネルギー・原材料として利用する事業者は、計画を作成し国に提出。国は基準に基づいてこれを認定。

  • 認定を受けた事業者に対する「価格差に着目した支援」
    認定を受けた事業者が、認定計画に従って継続的に低炭素水素等の供給を行うため、低炭素水素等の価格(基準価格)と既存燃料・原料の価格(参照価格)の差額を支援する制度が始まりました。2025年3月まで募集され、その後採択者が発表されます。

  • 認定を受けた事業者に対する「拠点整備支援」
    認定を受けた事業者が、低炭素水素等の国内外のサプライチェーンの整備に必要な資金を支援する制度が始まりました。2025年6月まで募集され、その後採択者が発表されます。

  • 高圧ガス保安法の特例:
    高圧ガス保安法では、高圧関連設備は都道府県が許認可・検査を行いますが、認定計画に基づく設備に対しては、一定期間は国(経済産業大臣)が一元的に許可や検査等を行うことで、事業の迅速化を図ります。

脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案【水素社会推進法】の概要

第7次エネルギー基本計画

水素エネルギーは日本の「エネルギー基本計画」でも重要なエネルギーと位置付けられています。2025年2月に発表された第7次エネルギー基本計画では「幅広い分野(鉄鋼、化学、モビリティ分野、産業熱、発電等)での活用が期待される、2050年カーボンニュートラル実現に向けた鍵となるエネルギー」と位置付けられており、以下のような目標や方針が掲げられています。

  • 日本の目標(2030年に30円/Nm3(CIF価格)・最大300万トン/年、2040年に1,200万トン/年、2040年に20円/Nm3以下、2,000万トン/年)の実現
  • 水素社会推進法に基づく3兆円規模の価格差に着目した支援により黎明期のユースケース作りを進める
  • 水電解装置や燃料電池、これらの部素材への投資や、将来技術(高温ガス炉)の技術開発を促進
  • 運輸分野:商用車や大規模水素ステーションの普及拡大への支援、船舶・鉄道車両への適用
  • 電力分野:水素・アンモニア発電をはじめとする拡大、技術開発・実証
  • 産業分野:熱源利用、水素還元製鉄、水素バーナー・ボイラー等の技術開発・実証
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